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医学 + 建築学 ⇒ 健康・省エネ住宅の今後


健康・省エネシンポジウム IN 経団連Ⅴ(2012年5月23日)に行きました。
主催:NPO法人 シックハウスを考える会及び、(一社)健康・省エネ住宅を推進する国民会議
後援:国土交通省、環境省、厚生労働省、経済産業省、林野庁、日本医師会、日本歯科医師会他、生活・建築・インフラ・消費者関連団体、報道関係など多岐。

このシンポジウムは、下記のようにテーマをもちながら開催されてきました。
第1回 「地球環境を守り、同時に国民の健康寿命を守るための住宅」(2008年)
第2回 「家族が健康に暮らせ、日本の産業化にも繋がる健康・省エネ住宅実現に向けての国民合意とその体制づくり」 (2009年)
第3回 「地球環境のための断熱改修から家族の健康、幸せのための断熱改修推進」(2010年)
第4回 「重要な地域活性化の手段としての地域財(人・材)を活用した健康・省エネ住宅」(2011年)

そして、ほぼ同時期に開催されているシンポジウムが別にあります。

健康維持増進住宅シンポジウム
主催 :(財)建築環境省エネルギー機構
後援:国土交通省

第1回 「健康維持増進住宅におけるヘルスキャピタル概念の構築(基調講演テーマ)」(2007年)
第2回 「1年間の研究成果の報告」 (2008年)
第3回 「住宅と健康に関する先端研究の動向と居住者の意識・満足度」(2009年)
第4回 「健康で快適な住まいとコミュニティーのあり方を探る」(2009年)
第5回 「設計ガイドラインとCASBEE健康策定にむけて」(2010年)
第6回 「最新の研究成果と健康ガイドブック(居住者向け)の開発」(2012年)

どちらも「健康」を謳っていますが、それぞれのシンポに参加してみると『健康・省エネシンポジウム』は医学的見地を主体に健康的な社会を築くためのもの。『健康維持増進住宅シンポジウム』は従来の建築学に医学的見地を加え健康的な住まいをつくるためのものというのが実感です。また、後援者の違いからも読み取れると思います。

さて、健康・省エネシンポジウム5回目となる今回のテーマは、「省エネ住宅への関心を高めるための医学・建築学連携による《健康長寿に資する住宅・住まい方調査》推進と結果の国民共有を目指して―」とあります。主催者のセンスでしょうが、回を追っても変わらない大きなテーマに、その時の時事問題を組み込むところが上手です。

シンポのなかで私が気になったことを少々。
  • 住宅のバリアフリー化が行き過ぎると、かえって生活不活発病になりやすいという意見もあり、エビデンス(証拠・根拠)の収集が必要と。・・・・・・介護の観点からすると、階段・段差が良いということはあり得ない、予防を目的とする動作機能維持なら、社会性や精神安定を保つうえでも散歩・自転車・庭いじりなど住宅外での行動が望ましいと思います。
  • 日光不足は、高齢女性に多い骨粗しょう症からくる骨折による寝たきり化(生活不活発病)を起し、心理的にも影響が予想される。防止するうえでも高齢者居住スペースの採光によるビタミンD生成を促す工夫が必要と。・・・・・・高齢者は雨戸の開け閉めが億劫になり、室内照明で過ごすことが多くなるので、温熱環境と併せて設計にこのような視点をも、持つべきです。
  • 省エネ住宅化による健康性向上という便益を、財政難におかれる日本のシュミレーションに加えることが必要と。・・・・・・医療や介護の在宅化へとシフトする流れなので、「予防」と「便益」の関係を深掘りし実証する段階に入ったということです。
  • 都市部の高度成長期に建てられた団地(エレベータ無しの4~5層階段室型)には高齢者が多く暮らしており、訪問医療に伺う医師が患者を見る前に疲労してしまうことが問題となりつつある。・・・・・・建設当時の階段室型はプライバシーや防犯、風通しなどの利点から量産されましたが、今ではお荷物。いくら、当時の日本に財政難などなく、建物なんざスクラップ&ビルドすれば良かったとは言え、冷静に考えると、この国が先進国と呼ばれることに恥ずしさを感じてしまいます。
このシンポジウムは当分続きそうです。(※もうひとつの健康維持住宅シンポジウムは今年度末で終了し、一部引き継ぐような感じです。)もはや住環境分野では、医学との連携無しでは進まなくなった感があります。これからの数年は「実証」フェーズという位置づけで様々な場所で実験・調査が行われます。我々住宅設計に携わる者にもエビデンス化が求められる時代になり、まっとうな住環境がようやく提供できるようになったと喜ぶべきではないでしょうか。

寒い脱衣室 後期高齢者の体に障る実態を調査

試験的に脱衣・入浴時の血圧を自分で測定したところ
冬の暮らしにおけるヒートショックがクローズアップされるなか、特に脱衣時の血圧上昇が急激に起こることを問題視する向きがあります。

そこで、先の厳冬期にあたる2月(2011年)、ヒートショック被害に遭いやすいと言われている後期高齢者(75歳以上)が実際に暮らす住宅で、脱衣室を暖房していないケースと事前に暖房をしているケースの温熱環境とバイタルサインの関連について調査を2件行い考察しました。
温度測定用の手づくり計測帯を吊るした脱衣・浴室

■ 調査概要

立地・居住建物

東京のベッドタウンとして発展した人口24万人、世帯数10万世帯を持つ都市のごく普通の住宅地で、海抜2mの平野に位置します。次世代省エネルギー基準のⅣ地域に属し、昭和62年(1987年)以前に建てられた木造戸建住宅で、建物断熱性能は旧省エネ(S55)基準以下と推察します。

測定事項

・ 一日のほとんどを過ごす場所(居間)の温・湿度、二酸化炭素濃度、血圧と脈拍
・ 脱衣・入浴をする際の温・湿度、血圧と脈拍

主な計測機器

温湿度ロガー、温湿度計、二酸化炭素濃度計、サーモグラフィカメラ、血圧計

■ 調査結果資料

やはり、脱衣室の暖房の有効性がわかる結果となりました。あわあせて、身体状況の個別性から、脱衣室と浴室の暖房だけに焦点を当てるのは、問題があるのではという疑問が浮かびあがりました。
※以下に調査結果をまとめたファイルと参考資料が見れるようにリンクを貼っていますので是非御覧ください。

レポート→後期高齢者(75歳以上)の脱衣・入浴時における温熱環境及び血圧の測定/2012年冬

また、住宅技術評論家 南雄三さんのレポート→ 「冬季脱衣室の温度調査報告書 2012年4月20日」に今回の測定データが利用されていますので、こちらもあわせてご覧ください。


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