住宅の研究って何をやっているの?@建築研究所

 つくばで催された科学技術週間行事(4月22日)を見に行ってきました。
独立行政法人 建築研究所では予約制で様々なテーマのツアー見学を用意しており、はるばるつくばまで行くのだからとすべてをハシゴすることに。そのなかのいくつかを紹介します。

● コンクリートを調べてみよう/建築材料実験棟

フレッシュコンクリートの感触を確かめる
コンクリートスランプテストを見る
普通コンクリートと高流動化コンクリートのつくり方を実際に並べてやってみるというものです。働く車のコンクリートミキサー車から流れてくるコンクリートなら見たことがあるかもしれませんが、ちびっ子たちにとって手で練り上げるコンクリートはプリンでも作るように見えたことでしょうか。フレッシュコンクリートに触らせるとはなかなかやるな建築研究所。ここではお土産に「建築研究所」ネーム入りクラックスケールを頂きました。

 ● 大地震時の木造住宅の倒れ方をみてみよう/建築部材実験棟

筋交い耐力壁が壊れるのを見る
 大地震による振動にて木造住宅の壁が崩壊する現象を再現したものです。特に補強金物はなく1981年以前(厳密には2000年以前)の古い法律が適用された時代の住宅を想定したものでしょうか。けたたましい音とともに筋交いが破壊してしまいました。また建築研究所が開発した木造住宅倒壊解析ソフト『wallstat』ウオールスタットのシュミレーションと実物住宅の倒壊実験の結果を比較した映像を解説。同様の倒壊プロセスをたどっていました。つまり、このソフトのシュミレーション精度は悪くないということです。そこで質問をしてみました。「今現在、耐震診断・改修をしていない古い家に住まわれている方に、家の中で最も地震に対して安全な部屋はどこで、寝るならそこにしなさいと言うアドバイスにこのソフトが活用できるか?」→担当職員の方は「そういうこともできると思う」と返答。なんと!このソフトが無料でダウンロード利用ができるなんて、世の設計・工事屋さんにもっと知らせて役に立てるようにすべきだぞ建築研究所

● 火の粉による延焼をみてみよう/火災風洞実験棟

風が強い時に火の粉が住宅にどう当たるのかを見る
 風の強い時には1.6km遠方まで火災の火の粉が飛び、ごくごく小さな火の粉でも侮れない。また、なるべく飛んできた火の粉がたまりにくいような工夫が大切であるとも。現在は住宅屋根の棟通気口から入る火の粉の被害を実験検証したりしているとか。しかし、平均風速10m/秒の人工風で火の粉はたくさん飛んでも、メガホンからの説明の声は我々見学者まで飛んで来なく聞きとれなかったぞ建築研究所


● 風をみよう/通風実験棟


住宅内の風の流れを見る

今回、私が一番見たかったのがこれです。東京都台東区という下町の木造住宅密集地域近くに住む者として「卓越風を含む風の有効利用で快適かつエコな生活を前面道路や隣棟間隔の狭い木造住宅密集地域でなんとか合理的に実現できないものか?」と思っていて、少しでもヒントが無いものかと期待してのことです。住環境工学のなかで最も解析が難しいのが換気・通風などの「空気の動き」ではないのかと常々思っています。様々な建築論文を漁ってみても住宅のなかで空気の流れをコントロールするレポートがまだまだ少ないのが現実です。この実験棟は住宅に対する風向きや窓の位置、開閉構造の組合せにより上手く風を活用できるかをシュミレーションするためにあるそうです。まだまだ未開拓な研究分野だけにこの装置は今後より重要なものになりそうです。また世界でひとつしか無い実験棟(装置)だそうで、世界に冠たる実験結果を出して欲しいぞ建築研究所


昨今の地震や電力問題による省エネなどがメディアで頻繁に報道されることから、注目度が上がったのでしょうか。建築業界の方ではない見学者が多く、子ども連れも目立ちました。 住宅には家族の生命や財産を守るために、地味で地道な研究活動が必要なことが理解されるこのようなツアーがもっと盛んになればいいなと思った一日でした。頑張れ建築研究所

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